・請求の種類
1.認定日請求(本来請求)
2.遡及請求
3.事後重症請求
・請求手続き
1.年金請求書
2.受診状況等証明書
3.診断書
4.病歴就労状況等申立書
・請求書類の提出
・提出必須の書類
・支給決定がわかるまで
障害年金の請求方法には①認定日請求(本来請求)②遡及請求③事後重症請求があります。
障害認定日から1年以内に行う請求を認定日請求(本来請求)と言います。障害認定日から3ヶ月以内の症状が記載された診断書(1枚)が必要になります。支給開始は障害認定日のある月の翌月分からになります。
障害認定日から1年超過してから行う請求を遡及請求と言います。必要な書類は障害認定日から3ヶ月以内の症状が記載した診断書(1枚)、請求日前3ヶ月以内の診断書(1枚)になります。支給開始は障害認定日の翌月分からになります。ただし、年金の時効は5年なので遡って支給される年金は、請求時から過去5年分までです。
障害認定日に障害が軽く、その後症状が重くなって障害等級に該当し、65歳前までに行う請求を事後重症請求と言います。障害の重症化以外でも請求できます。例えば、遡及請求のために障害認定日から3ヶ月以内の診断書を得ようとしたが、カルテが廃棄されて診断書が書けなかったなどです。必要な書類は請求日から遡って3ヶ月以内の診断書(1枚)です。請求日が障害認定日になるので、請求月の翌月分から支給になります。
障害年金の相談は年金事務所、街角の年金相談センター、お近くの市区町村の窓口でいずれも無料で相談できます。年金事務所や街角の年金相談センターは予約制になっています。
相談に行くとき、障害年金を請求する本人が行く場合は、本人確認ができる書類と基礎年金番号が確認できる書類が必要です。家族や代理人が行く場合は、委任状と家族・代理人の本人確認ができる書類が必要になります。委任状がない場合は委任状に代わる書類を用意します。
・本人確認ができる書類
マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳など
・基礎年金番号が確認できる書類
被保険者証(健康保険証)、基礎年金番号通知書、年金手帳など
・代理人であることがわかる書類
委任状、戸籍謄本(代理人が親権者または未成年後見人の場合)など
委任状は日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
・委任状に代わる書類
1.心身に障害がある方の場合
身体障害者手帳、要介護認定の通知書、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳など
2.施設に入所または医療機関に入院している方の場合
家族が相談することができず、施設、医療機関の職員等が相談する場合は上記の書類に加えて次の書類
を用意します。
家族からの相談依頼文書または本人に代わって家族が相談することができない状況の申立書
内容は以下の項目のいずれかの状況が記された任意の書類です。
a家族がいないか、または家族がいることが確認できない
b家族の所在が不明である
c家族が本人に代わって相談することについての協力が得られない
詳細な情報は日本年金機構のホームページの「窓口での年金相談のご案内」にあります。
相談に行く前にあらかじめ初診日と傷病名を確認しておくと良いでしょう。窓口では障害年金の説明が行われ、障害年金請求に必要な書類を渡されます。
請求に必要な書類は①年金請求書②受診状況等証明書③診断書④病歴就労状況等申立書です。
「障害基礎年金用」と「障害基礎年金・障害厚生年金・障害手当金用」の請求書があります。初診日に国民年金に加入していたら前者、厚生年金・共済年金に加入していたら後者になります。
受診状況等証明書は初診日を証明するものです。複数の医療機関を受診した場合、最初に受診した医療機関に作成してもらいます。同じ医療機関でも診療科が異なっていたら最初に掛かった診療科に作成してもらいます。初診日から同じ医療機関・診療科に通院している場合、診断書に記入されるので受診状況等証明書は不要になります。
受診状況等証明書はカルテをもとに作成されます。カルテは法律で5年間の保存義務があるので、5年を過ぎてしまうとカルテが廃棄されていることがあります。しかし、5年以上保存している医療機関もあるので問い合わせることが大事です。
最初に受診した医療機関・診療科にカルテがなかったら、2番目に受診した医療機関・診療科、そこでもなかったら3番目の医療機関・診療科で受診状況等証明書を作成してもらいます。初診日が確認できるまでこの繰り返しです。その際、初診日の証明ができなかった医療機関の「受診状況等証明書が添付できない申立書」に受診した証拠を添付します。
・証拠となるもの
医療機関や薬局の領収書、診察券、入院記録、診療報酬明細書、お薬手帳、健康診断の記録、交通事故証明
書、障害者手帳の申請時の診断書、医療機関のパソコンに残った初診日と診療の記録など
カルテがない場合、これらをもとに初診日を証明することになります。請求が認められるとは限らないのですが、あきらめずに証拠を探しましょう。
受診状況等証明書、「受診状況等証明書が添付できない申立書」は日本年金機構のホームページからダウンロードして入手できます。受診状況等証明書の作成にかかる費用は3千円~5千円が多いようです。医療機関によって金額は異なりますので、各医療機関にお問い合わせて下さい。なお、受診状況等証明書の作成費用は保険適用外なので、全額自己負担になります。
初診時の医療機関の証明を得るのが難しい場合に「第三者証明」があります。第三者が初診日頃の受診状況を証明すると初診日として認められることがあります。民生委員、医療関係者、施設長、事業主、友人、隣人などが第三者になります。しかし、家族や三親等以内の親族は第三者にはあたりません。
障害年金請求時から5年以内の第三者証明は認められません。ただし、他の参考資料を提出して、それらの資料から初診日が推定できる場合、第三者証明が認められます。原則2人以上の第三者証明が必要ですが初診日頃に直接診察した医師、看護師、その他医療従事者が第三者の場合、1人で十分です。
第三者証明で必要な記載事項は第三者の
①指名②住所③電話番号④請求者との関係⑤初診日頃の請求者の受診状況
について具体的な話になります。
初診日が20歳前か20歳以後かで提出書類が異なります。
初診日が20歳前の場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」と「第三者証明書類」です。しかし、初診日が20歳以後のときはこれらの書類に加えて、「初診日の参考となる資料」が要ります。
・初診日の参考となる資料
診察券、入院記録、障害者手帳、障害者手帳の申請時の診断書、交通事故証明書、健康診断の記録、健康保
険の給付記録(レセプトを含む)、お薬手帳、医療機関・薬局の領収書などです。
第三者証明以外で20歳前の初診日を証明するには、2番目以降に受診した医療機関が作成した受診状況等証明書または診断書を用意する方法があります。ただし、1、2を満たす必要があります。
1.2番目以降に受診した医療機関の受診日から、障害認定日が20歳到達日前であることが確認できる場合
a.2番目以降に受診した医療機関の受診日が18歳6ヶ月前である。
(障害認定日は初診日から1年6ヶ月経過した日のため、2番目以降の医療機関受診日が18歳6ヶ月前の必
要があります。)
b.2番目以降に受診した医療機関の受診日が18歳6ヶ月~20歳到達日以前にあり、20歳到達日前
に障害の原因となっていた病気や障害が治った(症状が固定した)。
(症状が固定した日が障害認定日となるため、2番目以降に受診した医療機関が18歳6ヶ月以後でも
構いません。)
aまたはbのどちらかに該当している。
2.2番目以降に受診した医療機関の受診日の前に、厚生年金の加入期間がない。
例:最初の医療機関を11歳で受診したが、17歳で受診した2番目の医療機関の受診状況等証明書また
は診断書があり、かつ17歳の受診前に厚生年金の加入期間がない場合。障害認定日が20歳到達日
以前であることが確認できるので、最初の医療機関の証明は不要になります。
初診日の証明方法には、初診日が一定期間内にあることを証明するものがあります。
参考資料に基づいて初診日が一定期間内に存在し、この期間に障害年金の保険料納付要件を満たしているとき、「一定の期間の始期と終期を示す参考資料」と「本人申立の初診日についての参考資料」を審査して、本人の申し立てた日を初診日と確認します。
a.一定期間内に同一の年金制度に加入している。
b.一定期間の全期間が20歳前であること。ただし、厚生年金加入期間がある場合はその期間を除く。
c.一定期間の全期間が60歳~65歳の間にあり、いづれの期間も年金保険料納付要件を満たしている。た
だし、厚生年金加入期間がある場合を除く。
d.一定期間に異なる年金制度に加入し、いづれの期間も年金保険納付要件を満たしており、かつ請求者が申
し立てた初診日の参考資料がある場合
a~cの場合に必要な書類は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」、「一定期間の始期と終期を示す参考資料」です。
・一定期間の始期を示す参考資料
例:就職時に提出した診断書、人間ドックの結果(発病していないことが確認できる資料)、職場の人間関
係が起因となった精神疾患であることを明らかにする医学的資料および就職の時期を証明する資料など
・一定期間の終期を示す参考資料
例:2番目以降に受診した医療機関による証明、交付日の記載された障害者手帳など
dの場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」、「一定期間の始期と終期を示す参考資料」に加えて、「本人申立の初診日に関する参考資料」が必要な書類になります。
・本人申立の初診日に関する参考資料
例:診察券、入院記録、医療機関・薬局の領収書、生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書、障害
者手帳の申請時の診断書、交通事故証明書、インフォームド・コンセントによる医療情報サマリー、事
業所等の健康診断の記録、健康保険の給付記録(レセプトを含む)など
その他の初診日の証明方法として、初診日の記載された、請求の5年以上前に医療機関が作成したカルテ等を用意する方法があります。以下の書類が必要になります。
・受診状況等証明書が添付できない申立書
・請求の5年以上前に医療機関が作成したカルテ等の写しであって、そこに請求者が申し立てた他の医療機関
での初診日が記載されているもの
障害年金の診断書は治療を目的とした医学上のものではなく、病気や怪我で日常生活にどれだけ支障が生じたかを伝えるためのものです。したがって、医師に日常生活の困難を細かいことまで正確に伝えて診断書を書いてもらうことが重要になります。
特に精神障害の診断書は日常生活能力が重視されます。そのため、伝える情報量が少ないと日常生活の困難が実情よりも軽く書かれてしまう怖れが生じてしまいます。
障害年金が不支給になる可能性も出てきますので、医師には日常生活の困難に関して正確に伝えましょう。
診断書は8種類あります。診断書は年金事務所、街角の年金相談センターでもらうか日本年金機構のホームページでダウンロードすることで入手できます。日常生活や就労状況のどこに困難を抱えているかによって使用する診断書が異なります。そのため、同一の病気や怪我でも診断書が異なることがあるので注意を要します。
・障害年金の診断書の種類
①眼の障害
②聴覚・鼻孔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害
③肢体の障害
④精神の障害
⑤呼吸器疾患の障害
⑥循環器疾患の障害
⑦腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害
⑧血液・造血器・その他の障害
診断書の作成期間は約1ヶ月、費用は5千円~1万円が多いようです。医療機関によって作成期間、費用は異なりますので、各医療機関にお問い合わせして下さい。なお、診断書作成にかかる費用は保険適用外ですので全額自己負担になります。
精神障害用の診断書の中には、「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」という質問事項があります。これらの項目で日常生活能力が判断されます。精神障害の診断書の中で非常に重要な項目になります。
日常生活能力の判定には
①適切な食事
②身辺の清潔保持
③金銭管理と買い物
④通院と服薬
⑤他人との意思伝達及び対人関係
⑥身辺の安全保持及び危機対応
⑦社会性
以上7つの項目があり、各項目を4段階評価します。家族と同居していても、1人で生活した場合を想像してどれだけのことができるかが判断基準になります。
嗜癖的な食行動(たとえば拒食症や過食症)をもって「食べられない」とはしない。
1 | できる | 栄養のバランスを考え適当量の食事を適時にとることができる。(外食、自炊、家族・施設からの提供を問わない。) |
2 | 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする |
だいたいは自主的に適当量の食事を栄養のバランスを考え適時にとることができるが、時に食事内容が貧しかったり不規則になったりするため、家族や施設からの提供、助言や指導を必要とする場合がある。 |
3 | 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる |
1人では、いつも同じものばかりを食べたり、食事内容が極端に貧しかったり、いつも過食になったり、不規則になったりするため、経常的な助言や指導を必要とする。 |
4 | 助言や指導をしてもできない若しくは行わない |
常に食事へ目を配っておかないと不食、偏食、過食などにより健康を害するほどに適切でない食行動になるため、常時の援助が必要である。 |
調理、配膳、後片付けができ、規則正しい時間帯に食事ができ、適切な食事量と栄養のバランスを考えて食事をとることができるかを判断します。家族が作った料理を一日一回しか食べない、スーパーで買った冷凍食品やお弁当ばかり食べるなどは、「適切な食事」ができるとは言えません。
1 | できる | 洗面、整髪、ひげ剃り、入浴、着替え等の身体の清潔を保つことが自主的に問題なく行える。必要に応じて(週1回くらいは)、自主的に掃除や片付けができる。また、TPO(時間、場所、状況)に合った服装ができる。 |
2 | 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする | 身体の清潔を保つことが、ある程度自主的に行える。回数は少ないが、だいたいは自室の清掃や片付けを自主的に行える。身体の清潔を保つためには、週1回程度の助言や指導を必要とする。 |
3 | 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる | 身体の清潔を保つためには、経常的な助言や指導を必要とする。自室の清掃や片付けを自主的にはせず、いつも部屋が乱雑になるため、経常的な助言や指導を必要とする。 |
4 | 助言や指導をしてもできない若しくは行わない | 常時支援をしても身体の清潔を保つことができなかったり、自室の清掃や片付けをしないか、できない。 |
適切な頻度で入浴の準備ができ、石けん、シャンプーを使って体・頭を洗い、体をタオルで拭き、ドライヤーで髪を乾かし、着替えを行う、これら一連の動作ができる。毎日着替えができる、天候や季節に合わせて服装を選べる。自室の清掃や片付けができる。こうしたことが「身辺の清潔保持」ができることになります。
家族に声をかけられて入浴したり、掃除をするなどは「身体の清潔保持」ができることにはなりません。
行為嗜癖に属する浪費や強迫的消費行動については、評価しない。
1 | できる | 金銭を独力で適切に管理し、1ヶ月程度のやりくりが自分でできる。また、1人で自主的に計画的な買い物ができる。 |
2 | おおむねできるが時には助言や指導を必要とする | 1週間程度のやりくりはだいたい自分でできるが、時に収入を超える出費をしてしまうため、時として助言や指導を必要とする。 |
3 | 助言や指導があればできる | 1人では金銭の管理が難しいため、3~4日に一度手渡して買い物につきあうなど、経常的な援助を必要とする。 |
4 | 助言や指導をしてもできない若しくは行わない | 持っているお金をすぐに使ってしまうなど、金銭の管理が自分ではできない、あるいは行おうとしない。 |
独力で金銭のやりくりができ、必要なものを必要なだけ計画的に購入できるかを判定します。不必要な量の買い物をしてしまう。頼まれたものを買ってくるだけなどは「金銭管理と買い物」ができることになりません。
1 | できる | 通院や服薬の必要性を理解し、自発的かつ規則的に通院・服薬ができる。また、病状や副作用について、主治医に伝えることができる。 |
2 | おおむねできるが時には助言や指導を必要とする | 自発的な通院・服薬はできるものの、時に病院に行かなかったり、薬の飲み忘れがある(週2回以上)ので、助言や指導を必要とする。 |
3 | 助言や指導があればできる | 飲み忘れや、飲み方の間違い、拒薬、大量服薬をすることがしばしばあるため、経常的な援助を必要とする。 |
4 | 助言や指導をしてもできない若しくは行わない | 常時の援助をしても通院・服薬をしないか、できない。 |
1人で規則的に通院や服薬ができるか、薬の副作用や症状の変化などを医師に説明できるかなどが問われます。付き添いがないと通院できない、薬の飲み忘れが多いなどは「通院と服薬」ができることになりません。
1対1や集団の場面で、他人の話を聞いたり、自分の意思を相手に伝えたりするコミュニケーション能力や他人と適切に付き合う能力に着目する。
1 | できる | 近所、仕事場等で、挨拶など最低限の人づきあいが自主的に問題なくできる。必要に応じて、誰に対しても自分から話せる。友人を自分からつくり、継続して付き合うことができる。 |
2 | おおむねできるが時には助言や指導を必要とする | 最低限の人づきあい はできるものの、コミュニケーションが挨拶や事務的なことにとどまりがちで、友人を自分からつくり、継続して付き合うには、時として助言や指導を必要とする。あるいは、他者の行動に合わせられず、助言がなければ、周囲に配慮を欠いた行動をとることがある。 |
3 | 助言や指導があればできる | 他者とのコミュニケーションがほとんどできず、近所や集団から孤立しがちである。友人を自分からつくり、継続して付き合うことができず、あるいは周囲への配慮を欠いた行動がたびたびあるため、助言や指導を必要とする。 |
4 | 助言や指導をしてもできない若しくはおこなわない | 助言や指導をしても他者とコミュニケーションができないか、あるいはしようとしない。また、隣近所・集団とのつきあい・他者との協調性がみられず、友人等とのつきあいがほとんどなく、孤立している。 |
他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行えるかを判断します。対面で会話ができない、相手の意思を理解した言動ができないなどは「他人との意思伝達及び対人関係」ができるとは言えません。
自傷・他害行為は含めない。
1 | できる | 道具や乗り物などの危険性を理解・認識しており、事故等がないよう適切な使い方・利用ができる(例えば、刃物を自分や他人に危険がないように使用する、走っている車の前に飛び出さない、など)。また、通常と異なる事態となった時(例えば火事や地震など)に他人に援助を求めたり指導に従って行動するなど、適正に対応することができる。 |
2 | おおむねできるが時には助言や指導を必要とする | 道具や乗り物などの危険性を理解・認識しているが、時々適切な使い方・利用ができないことがある(例えば、ガスコンロの火を消し忘れる、使用した刃物を片付けるなどの配慮や行動を忘れる)。また、通常と異なる事態となった時に、他人に援助を求めたり指示に従って行動できない時がある。 |
3 | 助言や指導があればできる | 道具や乗り物などの危険性を十分に理解・認識できておらず、それらの使用・利用において、危険に注意を払うことができなかったり、頻回に忘れてしまう。また、通常と異なる事態となった時に、パニックになり、他人に援助を求めたり、指示に従って行動するなど、適正に対応することができないことが多い。 |
4 | 助言や指導をしてもできない若しくは行わない | 道具や乗り物などの危険性を理解・認識しておらず、周囲の助言や指導があっても、適切な使い方・利用ができない、あるいはしようとしない。また、通常と異なる事態となった時に、他人に援助を求めたり、指示に従って行動するなど、適正に対応することができない。 |
事故等の危険から身を守る能力がある、通常とは異なる事態となった時に他人に援助を求めるなどを含めて、適正に対応することができるかを判断します。包丁やガスの火を適切に扱えない、災害時にパニックになってしまい冷静な対応ができないなどは「身辺の安全保持及び危機対応」ができるとは言えません。
1 | できる |
社会生活に必要な手続き(例えば行政機関の各種届出や銀行での金銭の出し入れ等)や公共施設・交通機関の利用にあたって、基本的なルール(常識化された約束事や手順)を理解し、周囲の状況に合わせて適切に行動できる。 |
2 | おおむねできるが時には助言や指導を必要とする | 社会生活に必要な手続きや公共施設・交通機関の利用について、習慣化されたものであれば、各々の目的や基本的なルール、周囲の状況に合わせた行動がおおむねできる。だが、急にルールが変わったりすると、適正に対応することができないことがある。 |
3 | 助言や指導があればできる | 社会生活に必要な手続きや公共施設・交通機関の利用にあたって、各々の目的や基本的なルールの理解が不十分であり、経常的な助言や指導がなければ、ルールを守り、周囲の状況に合わせた行動ができない。 |
4 | 助言や指導をしてもできない若しくはおこなわない | 社会生活に必要な手続きや公共施設・交通機関の利用にあたって、その目的や基本的なルールを理解できない、あるいはしようとしない。そのため、助言・指導などの支援をしても、適切な行動ができない、あるいはしようとしない。 |
銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。また、社会生活に必要な手続きが行なえるなどを判断します。役所で手続き方法が分からない場合窓口で質問できない、時間通りに電車が来ないとパニックになってしまうなどは、「社会性」のある行動ができることにはなりません。
「日常生活能力の程度」は5段階評価をします。精神障害と知的障害に分かれます。「日常生活能力の判定」と矛盾が生じないようにします。
1 | 精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。 |
2 |
精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。 (たとえば、日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難が生じることがある。社会行動や自発的な行動が適切にできないこともある。金銭管理はおおむねできる場合など) |
3 |
精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。 (たとえば、習慣化した外出はできるが、家事をこなすために助言や指導を必要とする。社会的な対人交流は乏しく、自発的な行動に困難がある。金銭管理が困難な場合など) |
4 |
精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。 (たとえば、著しく適正を欠く行動が見受けられる。自発的な発言が少ない。あっても発言内容が不適切であったり不明瞭であったりする。金銭管理ができない場合など) |
5 |
精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。 (たとえば、家庭内生活においても、食事や身のまわりのことを自発的にすることができない。また、在宅の場合に通院等の外出には、付き添いが必要な場合など) |
1 | 知的障害を認めるが、社会生活は普通にできる。 |
2 |
知的障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。 (たとえば、簡単な漢字は読み書きができ、会話も意思の疎通が可能であるが、抽象的なことは難しい。身辺生活も一人でできる程度) |
3 |
知的障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。 (たとえば、ごく簡単な読み書きや計算はでき、助言などがあれば作業は可能である。具体的指示であれば理解ができ、身辺生活についてもおおむね一人でできる程度) |
4 |
知的障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。 (たとえば、簡単な文字や数字は理解ができ、保護的環境であれば単純作業は可能である。習慣化していることであれば言葉の指示を理解し、身辺生活についても部分的にできる程度) |
5 |
知的障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。 (たとえば、文字や数の理解力がほとんどなく、簡単な手伝いもできない。言葉による意思の疎通がほとんど不可能であり、身辺生活の処理も一人ではできない程度) |
「日常生活能力の判定・程度」がわかりましたら、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」にある「等級の目安」を利用すると障害等級のおおよそが分かります。ただし、等級認定の参考にはなりますが、診断書などその他の書類を含めた総合評価なので、目安と異なる認定結果もあります。
「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」は日本年金機構のホームページよりダウンロードできます。
医師に正確な症状を反映した診断書を作成してもらうためには、日常生活や仕事上で病気や怪我によりどのような支障・困難が生じたかを細かいことまで正確に伝える必要があります。あらかじめメモに整理しておいて、それをもとに医師に説明すると良いでしょう。
病歴就労状況等申立書は、発症から現在までの経過を時系列順に本人が作成する書類です。障害年金の支給決定を左右する重要なもので、本人が作成する唯一の書類になります。
書く内容は発症時の状態、受診歴、治療内容、日常生活の状況、就労の状況です。
作成にあたって重要なことは、障害によって日常生活や就労状況にどのような支障があるかを簡潔かつ具体的に伝えることです。その上で、受診状況等証明書や診断書と整合性を保つことが重要です。
もし、診断書の内容が実際の症状と異なることがあれば医師に相談しましょう。
病歴就労状況等申立書は年金事務所、街角の年金相談センターで相談した折にもらえます。また、日本年金機構のホームページからダウンロードもできます。
病歴就労状況等申立書は表面と裏面があります。項目ごとに記入方法を説明します。病歴就労状況等申立書をお手元において、以下の文章をお読み下さい
診断書に記載してある病気・怪我の名称をその通りに記入します。病気や怪我が複数ある場合は、病歴就労状況等申立書を複数用意して、それぞれの用紙に1つの病気や怪我を記入します。ただし、発達障害とうつ病などは1枚の用紙で構いません。
診断書と同じ日付を記入します。○月○日頃と書かれていたら○月○日頃と記入します。
自覚症状が現れる前に以下のことがありましたら、その日を記入します。
・先天性疾患の場合は、症状を自覚したとき、または検査で異常が発見された日
・生まれつきの知的障害(精神遅滞)の場合は出生日
障害年金の申請において初診日は重要なので正確な日付を記入します。生まれつきの知的障害(精神遅滞)は出生日が初診日になります。
まず、記入の前提として
①事実を明瞭に記入する
②内容は簡潔・具体的で要領を得ている
③字は丁寧に書き、読みやすく適度な行間で記入する
以上のことが大事です。
審査する側が読んで障害状態がわかるように書くことを意識して下さい。
①事実を明瞭に記入する
障害認定を受けたいために事実を誇張したり、嘘を記入すると診断書と食い違いが生じ、審査する側に不信感を持たれかねません。また、障害による不平・不満を書き連ねることも障害状態を伝える目的から外れてしまうので注意して下さい。
②内容は簡潔・具体的で要領を得ている
病気や怪我の症状により日常生活上、就労上に生じた障害が伝わるように事実と言葉を選んで記入します。
③字は丁寧に書き、読みやすく適度な行間で記入すること
読む立場になって字や文章を記入しましょう。日本年金機構のホームページ上でダウンロードできる「病歴就労状況等申立書」にはエクセルで入力できるものがあるので、パソコンで入力したい人はこれを利用しましょう。
発病から現在までの状況を期間を空けずに記入します。同じ医療機関に通院した期間や受診していなかった期間が5年以上の場合は3~5年ごとに区切って記入します。複数の医療機関に通院した場合は通院期間にかかわらず医療機関ごとに記入します。
医療機関名は診療科まで記入します。通院期間、受診回数、入院期間、治療経過、医師から指示された事項、転医、受診中止の理由、日常生活状況、就労状況を記入します。日常生活状況は「疲労感が強い」、「注意力が低下」など日常生活の支障を記入しますし、就労状況は職場のサポート、勤務形態の変更、退職時期などを記入します。
医療機関に受診していない期間についても省略せずに記入します。受診しなかった理由、自覚症状の程度、日常生活や就労状況を記入します。受診しなかった理由が、例えば「体調が良かった」と「体調がひどくて病院に行けなかった」では意味が全く違うので忘れずに書き入れましょう。
先天性疾患の場合は、出生日が初診日になるため生まれてから現在までの状況を記入します。
記入方法は出生~就学前、小学校、中学校、高校、大学、卒業後~現在など区切って記入すると良いでしょう。
例えば、出生から就学前ならば歩き始め、言葉を発した時期、乳幼児健診時の指摘の有無。学校生活ならば普通学級か支援学級か、学校での様子。卒業後~現在ならば現在の状況を中心に書きます。就労しているときは仕事内容、会社から提供されている合理的配慮を記入します。
20歳前に初診日がある方のうち、以下の1、2に該当する場合は、病歴状況の記入を簡素化できます。
1.生まれつきの知的障害の場合は、1つの欄の中に特に大きな変化が生じた場合を中心に、出生時から現在
までの状況をまとめて記入することが可能です。
2.2番目以降に受診した医療機関の証明書を用いて初診日証明を行った場合は、発病から証明書発行医療機
関の受診日以降の経過は、通常どおり受診医療機関等ごとに各欄に記載を行って下さい。
認定日請求(障害認定日から1年以内に請求)する方は記入します。
「就労状況」欄
・就労していた場合
職種は仕事内容を具体的に記入します。例えば、販売店で接客業、製造業の営業、病院の事務などです。学生で通学している場合も記入します。休職、休学、就労していない場合は記入しません。
・通勤方法
片道の通勤時間であることに注意して下さい。時々交通機関を利用する場合も「バス(5分)」、「電車(乗客の少ない土日の朝のみ)」などと書きます。
・仕事中や仕事が終わった時の身体の調子について
仕事中や仕事後に身体の不調があったら「集中できない」、「疲労で動けない」、「痛みを感じる」など具体的に記入して下さい。
・就労していなかった場合
休職中の方もその理由を記入して下さい。
「日常生活状況」欄
・日常生活の制限について
日常生活の制限については、10項目あります。(①着替え②トイレ③食事④炊事⑤掃除⑥洗面⑦入浴⑧散歩⑨洗濯⑩買い物)
各項目を制限の程度により4段階評価します。以下が評価内容になります。
1.自発的にできた
2.自発的にできたが援助が必要だった。
3.自発的にできないが援助があればできた
4.できない
1から4に向かって程度が重くなります。
家族と同居していても、一人暮らしならどの程度できるかを想像して各項目を評価します。
例えば、家族が配膳の用意をして食事をするのは「自発的にできる」にはなりません。家族が声をかけて掃除、入浴するのも同様です。つまり、援助を受けてできた場合は「自発的にできる」うちに入らないということです。
診断書の内容と食い違いが生じないように注意しましょう。
その他日常生活で不便があれば具体的に記入しましょう。内容に関して主治医に確認は不要です。
事後重症による請求の場合に記入します。
遡及請求(障害認定日から1年以上経過した請求)の場合は「1.障害認定日(昭和・平成・令和 年 月 日)頃の状況」と「2.現在(請求日頃)の状況」の両方を記入します。
「就労状況」欄
就労状況(就労している場合、就労していない場合)の記入方法は、上記「障害認定日頃の状況」の「就労状況」欄と同じです。
「日常生活状況」欄
日常生活状況の記入方法は、上記「障害認定日頃の状況」の「日常生活状況」欄と同じです。
「障害者手帳」欄
障害者手帳の交付を受けている方は忘れずに記入して下さい。
「年月日」欄
提出日を記入しましょう。
「現住所」欄
住民票と同じ住所を記入します。
「請求者から見た続柄」欄
代筆者がいる場合は、「父」、「母」などを記入します。押印を忘れずにして下さい。
受診状況等証明書、診断書、病歴就労状況等申立書が揃ったら、その他必要な書類を用意し合わせて提出します。
・障害基礎年金
初診日に国民年金の第一号被保険者(自営業、学生、無職など)の場合、お近くの市区町村の国民年金担当窓口になります。第三号被保険者(会社員の配偶者など)は年金事務所、街角の年金相談センターが窓口です。
・障害厚生年金
初診日に厚生年金に加入の場合、請求窓口は年金事務所になります。共済組合に加入している場合、請求窓口は各種共済組合になります。
提出必須の書類は以下のものになります。
1.年金請求書
2.基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号がわかる書類
3.戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明書、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか
次のいずれかに該当する場合は、戸籍謄本等の提出不要
・単身者で日本年金機構にマイナンバーが登録されていること
・マイナンバー未登録の場合は、年金請求書にマイナンバーを記入すること
4.医師の診断書(レントゲンフィルムや心電図のコピーの提出が必要な場合があります。)
5.受診状況等証明書
6.病歴就労状況等申立書
7.年金の受取先金融機関の通帳等
カナ氏名、金融機関名、支店番号、口座番号の記載部分の預金通帳またはキャッシュカード(コピー可)
請求書に金融機関の証明を受けた場合は提出不要。
インターネット専業銀行の場合は、金融機関名、支店名、口座番号、口座名義(カタカナ)の記載ページ
をインターネットからプリントアウトして提出します。
受取先に指定できるインターネット専業銀行
ソニー銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行、イオン銀行、PayPay銀行、GMOあおぞらネット
銀行、auじぶん銀行、UI銀行、みんなの銀行、セブン銀行
8.戸籍謄本(記載事項証明書)
9.世帯全員の住民票の写し(マイナンバーの記入で提出省略)
10.配偶者の収入が確認できる書類(マイナンバーの記入で提出省略)
例:所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票等
11.子の収入が確認できる書類(マイナンバーの記入で提出省略)
義務教育終了前は不要、高等学校在学中の場合は在学証明書または学生証のコピー等
12.医師または歯科医師の診断書(1級または2級の障害状態を確認するため)
13.第三者行為事故状況届(所定の様式あり) 年金事務所に問い合わせて下さい。
14. 交通事故証明または事故が確認できる書類
例:事故証明が取れない場合、事故内容がわかる新聞のコピー
15.確認書(所定の様式あり)
16. 被害者に被扶養者がいる場合、扶養がわかる書類
例:源泉徴収票、保険証のコピーなど
17.損害保険会社等への紹介に係る同意書(所定の様式あり) 年金事務所、街角の年金相談センターで交付
18.年金加入期間確認通知書(共済組合に加入期間がある場合)
19.年金証書(配偶者を含み、他の公的年金を受けているとき)
20.身体障害者手帳、療育手帳など
障害年金の請求手続きを行うと審査が行われ、約3~4ヶ月で日本年金機構から請求者に結果が郵送で通知されます。
支給の場合は年金証書が届きます。年金証書には支払開始月、年金額、障害等級、次回診断書提出年月などが記されています。
不支給や却下の場合は不支給決定通知書や却下通知書が届きます。障害等級に該当しないと不支給決定通知書が届きます。初診日の確定ができなかったり、保険料納付要件を満たしていない場合は却下通知書が届きます。
年金証書の送付から約40~50日後に年金の初回振り込みが行われます。支払いは年6回、偶数月の15日に支払われます。初回の振り込みのみ奇数月の15日に支払われることがあります。支払日が土日、祝日のときは直前の平日に年金が支払われます。初回支払日に「年金支払通知書」が届きます、そこに支払日などが記載されています。