・更新手続
・額改定請求
・減額・支給停止
・扶養家族が増えたら
・加算・加給年金額の減額
・失権
障害年金には定期的に障害状態を確認する「有期認定」と確認しない「永久認定」があります。「永久認定」は更新の必要はありません。
「有期認定」は糖尿病や発達障害など障害状態が時間の経過によって変化する病気、怪我が対象です。
「永久認定」は手足の切断など症状に変化が期待できない病気や怪我が対象になります。
年金証書に「次回診断書提出年月」の文言があれば「有期認定」と判断でき、そこに更新期限が書いてあります。「有期認定」は障害状態に応じて1~5年の間に更新をしなければなりません。
更新期限の3ヶ月前の月末までに障害状態確認届が送付されます。
届いたら医師に障害状態確認届を書いてもらいます。前回と異なる医師の場合は、前回の診断書のコピーを渡すと日常生活、就労生活がうまく伝わります。
作成した障害状態確認届は必ず確認して、内容が実際より軽い症状に書かれていないようにします。訂正箇所がある場合は医師に相談しましょう。
内容に問題がないようでしたらコピーをとって手元に残しておきましょう。
障害状態確認届は日本年金機構に送るか、お住まいの市区町村の窓口に提出します。やむを得ない事情で提出期限が過ぎてしまう場合は、提出期限までに年金事務所に連絡して下さい。
審査の結果、等級に変更がない場合はハガキが送付され、「次の診断書提出時期」が書かれています。増額改定した場合は更新月の翌月分から、減額改定した場合は更新月の4ヶ月後から年金額が変更します。等級変更や支給停止の場合は「国民年金・厚生年金保険支給額変更通知書」が届きます。
更新時期が来る前に障害状態が悪化して、現在よりも重い障害等級への変更を請求することを額改定請求といいます。額改定請求は定期的に変更がある有期認定だけではなく、更新のない永久認定も障害状態が悪化したら請求ができます。
額改定請求に必要な書類は額改定請求書、診断書、年金証書が主なものになります。
提出先は最寄りの年金事務所、街角の年金相談センターになります。障害基礎年金のみの受給の場合は、市区町村の窓口になります。症状が悪化したら早めに手続きしましょう。
額改定請求は原則受給権を取得した日、または障害状態の検査を受けた日から1年経過した後に行います。ただし、障害状態が増進した場合は1年未満で請求できます
○額改定請求して等級が変更した場合
額改定請求日の1年後の翌日から請求可能
○更新・額改定請求のときに等級に変更がない場合
いつでも請求可能
○過去に一度も障害等級2級以上に該当していない障害厚生年金3級の受給者
65歳の誕生日前々日まで請求可能
○支給停止の場合
「老齢・障害給付受給権者支給停止事由消滅届」を提出して、いつでも請求可能
1 | 両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの |
2 | 一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの |
3 | 両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの |
4 | 一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの |
5 | ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4指標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2指標による両眼中心視野角度が28度以下のもの |
6 | 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの |
7 | ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4指標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2指標による両眼中心視野角度が56度以下のもの |
8 | ゴールドマン型視野計による測定の結果、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、I/2指標による両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの |
9 | 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの |
10 | 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの |
11 | 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの |
12 | 喉頭をすべて摘出したもの |
13 | 両上肢のすべての指を欠くもの |
14 | 両下肢を足関節以上で欠くもの |
15 | 両上肢の親指および人差し指または中指を欠くもの |
16 | 一上肢の全ての指を欠くもの |
17 | 両下肢の全ての指を欠くもの |
18 | 一下肢を足関節以上で欠くもの |
19 |
四肢または手指若しくは足指が完全麻痺したもの(脳血管障害または脊髄の器質的な障害によるものに ついては、当該状態が6月を超えて継続している場合に限る)*完全麻痺の範囲が広がった場合も含む |
20 | 心臓を移植したものまたは人工心臓(補助人工心臓を含む)を装着したもの |
21 | 心臓再同期医療機器(心不全を治療するための医療機器をいう)を装着したもの |
22 | 人工透析を行うもの(3月を超えて継続して行っている場合に限る) |
23 |
6月を超えて継続して人工肛門を使用し、かつ、人工膀胱(ストーマの処置を行わないものに限る)を使用しているもの |
24 |
人工肛門を使用し、かつ、尿路の変更処置を行ったもの(人工肛門を使用した状態および尿路の変更を行った状態が6月 を超えて継続している場合に限る) |
25 |
人工肛門を使用し、かつ、排尿の機能に障害を残す状態(留置カテーテルの使用または自己導尿(カテーテルを用いて自 ら排尿することをいう)を常に必要とする状態をいう)にあるもの(人工肛門を使用した状態および排尿の機能に障害を 残す状態が6月を超えて継続している場合に限る) |
26 |
脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態をいう)または遷延性植物状態(意識障害により昏 睡した状態にあることをいい、当該状態が3月を超えて継続している場合に限る)となったもの |
27 | 人工呼吸器を装着したもの(1月を超えて常時装着している場合に限る) |
1 | 両眼の視力の和が0.04以下のもの |
2 | 両耳の聴力損失が90デシベル以上のもの |
3 | 両上肢の全ての指を欠くもの |
4 | 両下肢を足関節以上で欠くもの |
5 | 両眼の視力が0.02以下のもの |
6 | 両眼の視力が0.04以下のもの |
7 | 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.06以下のもの |
8 | 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの |
9 | 喉頭をすべて摘出したもの |
10 | 両上肢を腕関節以上で失ったもの |
11 | 両下肢を足関節以上で失ったもの |
12 | 一上肢を腕関節以上で失ったもの |
13 | 一下肢を足関節以上で失ったもの |
14 | 両下肢をリスフラン関節以上で失ったもの |
15 | 両下肢の全ての足指を失ったもの |
16 | 心臓再同期医療機器(心不全を治療するための医療機器をいう)を装着したもの |
17 |
四肢または手指若しくは足指が完全麻痺したもの(脳血管障害または脊髄の器質的な障害によるものについては、当 該状態が6月を超えて継続している場合に限る) |
18 | 心臓を移植したものまたは人工心臓(補助人工心臓を含む)を装着したもの |
19 |
脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態をいう)または遷延性植物状態(意識障害により 昏睡した状態にあることをいい、当該状態が3月を超えて継続している場合に限る)となったもの |
20 | 人工呼吸器を装着したもの(1月を超えて常時装着している場合に限る) |
1.額改定請求書(日本年金機構のホームページからダウンロードして入手可能)
2.年金証書
提出日前3ヶ月以内に作成された書類
3.診断書(年金事務所で入手可能)
○呼吸器系疾患、肺化膿症、けい肺(これに類するじん肺を含む)、その他認定又は審査に際し必要と認め
られる病気や怪我で障害年金を受給している場合
4.レントゲンフィルム
○加算対象になる国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法の障害等級1級、2級に該当する子
がいる場合
5.子の診断書
○請求者が3級の障害厚生年金または障害共済年金の受給権者で、上記5の子が上記4の病気や怪我により
障害状態にある場合
6.子のレントゲンフィルム
提出日前1ヶ月以内に作成された書類
加算額または加給年金額の対象者がいる場合
7.家族と受給権者の身分関係を証明する市区町村の証明書または戸籍抄本(住民票は不可)
請求者が3級の障害厚生年金または障害共済年金の受給権者であって、加算額または加給年金額の対象
者がいる場合
8.生計維持を証明する書類
7、8の書類は請求書に本人、加算額・加給年金額の対象者のマイナンバーを記載することで添付を省略
できます。
障害給付の対象となった病気や怪我の初診日以降に共済組合等の組合員、加入者であった期間がある場合
9.共済組合等の年金加入期間確認通知書(障害給付を受けられるようになった以降の病気や怪我で、障害が
重くなった方に限ります。)
マイナンバーを記載した添付書類について
請求者のマイナンバーを記載した場合、マイナンバーカードを提示します。お持ち出ない場合は以下の者を提示して下さい。なお加算額・加給年金額対象者の個人番号確認書類、身元(実存)確認書類の添付は不要です。
①個人番号が確認できる書類:個人番号の表示がある住民票の写し、通知カード(氏名、住所等が住民票の記
載と一致する場合に限る)
②身元(実存)確認書類:運転免許証、パスポート、在留カードなど
・請求書を郵送する場合は、マイナンバーカードの表と裏両面または、①及び②のコピーを添付して下さい。
・上記以外の身元(実存)確認書類は最寄りの年金事務所でお問い合わせ下さい。
有期認定の更新で障害等級が軽い等級に変更すると支給額が減額改定されるか支給停止になります。
支給停止は受給権の消失を意味しないので、再び障害状態が悪化したら「老齢・障害給付受給権者支給停止事由消滅届」と診断書を提出すると支給停止が解除できます。
65歳到達日または障害等級3級未満の状態となってから3年が経過した日のどちらか遅い日までに提出しなければなりません。
「老齢・障害給付受給権者支給停止事由消滅届」は日本年金機構のホームページでダウンロードして入手できます。
原則、障害年金は収入が多くとも減額されることはありません。ところが、例外的に20歳前の障害基礎年金は所得による支給制限があります。令和7年度は、前年の受給者の所得が472万1千円を超える場合は全額支給停止、370万4千円超の場合は2分の1の支給停止になります。
なお、扶養親族がいる場合、扶養親族1人につき所得制限が38万円加算されます。所得が上記の額より少なくなれば支給制限はなくなります。
障害年金の受給権を得た後に、結婚、出産により新たな家族が増えた場合、「障害給付加算額・加給年金額加算開始事由該当届」を提出すると、障害基礎年金に「加算額」、障害厚生年金に「加給年金額」が支給されます。
障害基礎年金に「子の加算額」はあるが「配偶者の加算額」はありません。それに対して、障害厚生年金には「配偶者の加給年金額」はあるが「子の加給年金額」はありません。
対象となる家族は、
①子は、18歳に到達してから最初の3月31日までの者、または20歳未満で障害等級1、2級の者
②配偶者は、生計が同じで年収850万円未満、または所得額655万円未満の者です。
ただし、配偶者が加入期間20年以上の老齢厚生年金などを受給中、加給年金は支給停止になります。
(年金事務所または市区町村の窓口で入手する、または日本年金機構のホームページからダウンロードして
入手できます。)
・戸籍抄本(加算対象者と家族関係を明確にします。)
・世帯全員の住民票の写し(加算対象者と生計が同じであることを明確にします。)
・所得証明書等(加算対象者の収入を明確にします。)
例:所得証明書、源泉徴収票、課税(非課税)証明書等
対象者が子の場合:在学証明書または学生証の写し(義務教育終了前の子は不要)
診断書(障害等級1、2級かつ20歳未満の子のみ必要)
療育手帳等の写し(加算対象の子が療育手帳、身体障害者手帳等を持っている場合)
・児童扶養手当証書
(平成26年11月以前の期間について子の加算の受け取りを希望し、当該期間に配偶者が児童扶養手当を
受けている場合。)
提出先は、障害基礎年金のみの受給者は最寄りの市区町村の窓口、障害厚生年金の受給者は年金事務所になります。
平成26年12月から、同一の子を対象とした「障害年金の子の加算」と「児童扶養手当」を受けられるときは、「障害年金の子の加算」が優先され、「児童扶養手当」の支給額が「障害年金の子の加算」を超える場合は、その差額が支給されます。
子の加算額は、子が次の条件に1つでも該当すると減額改定します。
・死亡
・受給権者による生計維持の終了
・婚姻
・受給権者の配偶者以外の養子になる
・離縁
・18歳到達後の最初の3月31日が経過。ただし、障害等級に該当する子を除く。
・障害等級に該当する子の障害状態が回復したとき。ただし、18歳に到達後の最初の3月31日が経過して
いない子を除く
・20歳になったとき
配偶者の加給年金額は、配偶者が次の条件に1つでも該当すると減額改定します。
・死亡
・受給権者による生計維持状態の終了
・離婚または婚姻取り消し
・65歳に到達
以上の条件に該当したら「加算額・加給年金額対象者不該当届」を提出します。ただし、18歳に到達後の最初の3月31日が経過した子、20歳になった障害等級1級、2級の子、65歳になった配偶者は届出の必要はありません。
障害年金の受給権者は次の4つの条件、いずれかに該当した場合に失権します。
1.死亡
2.障害等級3級未満の者が65歳になった日。ただし、65歳になった時点で3級未満の障害状態になった
日から、その状態を維持して3年が経過していないときを除く。
3.障害等級3級未満の障害状態になった日から3年が経過したとき。ただし、3年経過した日において65
歳未満の者を除く。
4.障害年金の受給権者が、さらに別の病気、怪我による障害年金の受給権者になったとき、前後の障害等級
が消滅する。
例:障害等級2級(併合前A)+障害等級2級(併合前B)=障害等級1級(併合後C)
A、Bは失権する